ローランド アンバサダープログラム『TR-8S開発座談会』
ダンスミュージックの歴史を語る上で欠かすことができないローランド社のリズムマシンTR-808、TR-909、TR-707、TR-606。販売が終了して30年近く経った今でも人気が高く、中古市場でも高額で取引されている。2014年にローランドがこれらの機種を最新の技術で復活させたTR-8。値段も手ごろで操作性も分かり易い事からダンスミュージッククリエイターを中心に評判となり、世界の楽器系アワードで数々の賞を受賞した人気機種である。
そして後継機となるTR-8Sが2018年3月に発売。人気機種の後継機という事もあり、発表同時に予約受付が終了となったショップが多く、現在も3〜4ヶ月待ちの状態となっている。
そんな人気機種であるTR-8Sの理解を深めるため『ローランド アンバサダープログラム』であるTR-8Sの開発者と選ばれたアンバサダーによる座談会が都内某所で開催された。
マイファーストシンセは同社のXP-50であり、数々のローランド製品を購入して手持ち機材の8割がローランドという筆者がアンバサダーとして招待されましたのでイベントの様子をお届けします。
会場に入ると今回のイベントの主役であるTR-8Sの実機と開発段階で制作されたモックアップが展示されている。
往年のリズムマシンやAIRA、Boutiqueシリーズの数々も展示されている。
CR-78、TR-77、808、909などはこの日のために浜松にあるローランドミュージアムから会場に運び込まれた。
TR-8Sの説明
イベントがスタートすると最初にスライドを使った簡単なローランドの歴史を説明後に、TR-8Sのコンセプト、スペックや前機種TR-8との違いを説明。音色数、パターン数や機能などTR-8よりも格段に増えているため定価は約3万円の違いでもそれ以上の機能が詰め込まれている印象だ。
デモンストレーション
DJのABO KAZUHIROによるTR-8Sと同社のTB-3を駆使したライブパフォーマンスや10分以内でTR-8Sを使って1曲が作れるかという企画が行わる。10分以内には完成しなかったものの、時間内にやりたかった事としてTR-8Sで組んだパターンのMIDIデータをAbleton Liveに録音、Ableton Liveのクオンタイズ抽出機能を使い別のオーディオループ素材にそのクオンタイズを充ててTR-8Sのグルーヴを再現する裏技も披露。
アンバサダー紹介
参加されているアンバサダーの自己紹介があり、皆其々のローランドへの思いや自慢の機材について語る。また、ローランドの機材を駆使したパフォーマンスを披露するアンバサダーもいた。
座談会、開発秘話
TR-8Sを囲み開発者とのアンバサダーからの質疑応答がスタート。用意されてあるドリンクやお菓子を食べながらのリラックスした雰囲気で行われた。
気になる音色の質問がされたが、TR-8SはBoutiqueシリーズのTR-08、TR-09の音源システムを採用している。しかし、ハード面が異なるため出音は異なるとの事。
開発者のお話で開発段階でテストしていただいたアーティストが想定外の操作をする方が多いため「10人のアーティストに使ってもらうと10通りの使い方がある」との言葉の通り自由度の高さがうかがえる。
テストを担当したアーティストから「テープエコーは入ってないんですか?」と言った要望があり内蔵エフェクターにテープエコーが採用されるなど、貴重な裏話も聞く事ができた。
ユーザーの意見はどの位フィードバックをして製品に反映させているかと聞いてみたが、多く寄せられる意見や要望でもそれが正しいのか、間違いなのかを慎重に検討して製品に反映をさせているとの事。より良い製品、サービス向上のためユーザーの意見は重視しているため要望があれば是非ローランドに送って欲しい。
当初は3時間のイベントが、話が盛り上がり4時間近くまで延長。それでも物足りないぐらい参加者からローランド愛があふれるイベントだった。
6月16日のリリースパーティーではでTR-8Sを使おうと、4月中旬に注文をするも入荷予定日が5月末から6月末と延期になりレーベルのイベントには間に合わず(泣)しかし多くのローランド製品+カセットMTRを使ったパフォーマンスを行うのでお時間があれば、是非遊びに来てください。
Drift Away EP Release Party(HP、Facebook、Twitter等で連絡をいただけますとディスカウントさせていただきます。)
ローランドアンバサダーとして今後もローランドについて色々と発信していきますので今後もチェックしてください。
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Motoki Hada
UKのレイヴカルチャーに影響を受けトラックメイキング、DJ活動をスタート。ドイツの「Berlin Aufnahmen」「EMINOR BINARY」、ポーランドの「Pure Cocaine」よりリリースする。ラップトップを使ったトラックのクオリティとライブ性を競うバトル「Laptop Battle Tokyo Vol.6」で初出場ながら準優勝。レッドブルが世界中のクリエイターを選出し、教育するプログラム「Red Bull Music Academy」の体験版「Red Bull Music Academy Bass Camp 2012」に国内クリエイターとして選出される。
Charterhouse立ち上げ後はカセットレーベルのオーナーらしく、ラップトップからカセットMTRを使ったライブスタイルに移行。カセットMTR、TB-303、TR-8とMIDI、DYN-SYNC、FSKと3つの異なった信号を同期演奏させる。
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