boys be kko Into the Basementリミックス&ライブセッティングインタビュー
Charterhouse Records の3周年を記念し製作された楽曲『Into the Basement』のリミックスを担当し、2019年12月22日に開催される3周年パーティーにも出演する「boys be kko」。
自信でもレーベル”Kids Return”を主宰し、オランダのレーベル”Atomnation”からは2枚の12インチをリリース、更に19年11月にはスイスでの公演を成功させた。
そんな注目のクリエイターが作り出したリミックスの制作工程と使用したプラグインなどの解説や、ライブでの機材セッティングとインパクトのあるビジュアルで魅せる注目のパフォーマンスについて伺った。
-『Into the Basement』のリミックス製作はどのような工程で行ったのでしょうか?
オリジナルの楽曲が展開に富んでおりremixには差が欲しいと思い、<少ない展開>をテーマにしました。また、テープでのリリースもあるのであえてlo-fiにしても面白いかもと頭の片隅に置いていました。まずは、いただいたstemを”ableton Live“に立ち上げテーマに合った音がないか探します。すると「俺好みのパッドを発見!」そこをスタート地点に制作を始めました。ボイスサンプルもエディットし好きな音質にして散らしています。オリジナルの楽曲が「The Chemical Brothers」からの影響をビンビンに受けていると感じていたので、私も同じ要素が欲しいと思い、SH-101で作ったレゾナンスのツイークをちょいちょい入れました。ピュンって感じの音です、ケミカルがインタビューで話していたサウンドキャンディー的なノリです。(サウンドキャンディー : 耳心地の良い気持ちの良い音の事。)
またDJが使えることも意識しました、ただループをべっとり貼るだけでは華がないので大好きなオートメーションを好きなだけ書きました。ハイハットにも無駄に書きました。人力で書いてます。タムはいつもめんどくさくてTR-8で作っているのですが、トランジェントがきついので必ずableton Liveのエンベロープ画面でアタックのボリュームを削っています。”SPL”のトランジェントデザイナーとか使えばいいんですが思ったようにアタックがまとまらないことが多いので人力で書きます。部屋の構造上タムの一部が膨らんで聞こえます。ですので削りたくなってしまうのですが、グッとこらえます。そして波形を見てフラットになっているか確認しています。そんなめんどくさいことするのに、TR-8使うんですね。
-いくつかは話に出てきましたが、使用した機材、DAW、ソフトシンセ、プラグインなどは何を使っていますか?
また、普段から愛用している機材、プラグインは何でしょうか?
DAWはableton Liveでソフトシンセは”Arturia”のプラグインを多用しています。そしてシンセ類は”soundtoys”のプラグインを使いムッチリと歪ませました。制作では必ず使用する”Roland”のSH-101ですが、今回はメロディに使用しています。
-ミックスダウンの際に意識した事はありますか?
ミックスダウンと制作は同じものだと思っていて、曲を作りながら同時にミックスをしているイメージです。ひとまずは低音の被りに気を使っています。特にベースはタムと被る部分もあるので入念にサイドチェインや EQのオートメーションを書いています。”fab filter”のダイナミクス機能を使ってバレないように被る瞬間だけリダクションをしたりもして、音圧が上げやすいように意識しました。それと”brainworks”のプラグイン、bx-controlをつかって120〜200以下はモノラルにするようにしています。あーだこーだやっていますが、これが正しいのかわかりません。つまんない音だと言われるかもしれません。ですが、どんな場所/PAでもちゃんと鳴ってくれることが大事だと思うので心がけています。その分ウワモノで遊ぶように心がけます。
-今回の楽曲はTinyVoice Productionにて、ご自身立ち合いの元でマスタリングを行いました。いかがだったでしょうか?
立ち会いは人生で初めてだったので、ついていくことに必死でした。何やっているかほとんどわかりませんでしたが、丁寧に見せていただきまして後半ようやく音の違いがわかるようになりました。低音の処理は一番気を使っていたので、スタジオでの鳴りと、マスタリング後の鳴り、共に全く問題なかったので自分のミックスに自信を持てました。
また、ハイの処理がとても贅沢でスパークして弾けている感じがあるのに角が丸く、エンジニアさんもこだわりのアナログ感だと熱弁しており感動いたしました。周りにも褒められました。話は変わりますが「
マスタリングで化ける」っていうのはどういうことなんですかね?今回の楽曲は私の思い通りになって身も心も最高の体験になったのですが、化けるって完成が想像を超えてるってことなんですかね?そんな曲の作り方で大丈夫なんですかね?言い過ぎました。むしろ私が化けたことに気がついてないだけなんですか?!精進します。
-ライブで使用されている機材はなんでしょうか?またそれぞれの機材の使用用途や役割はどうなっているのでしょうか?
“Elektron”のOCTATRACK MK2とAnalogRYTM、そして”ROLAND”のTR-8の3台です。だいたいミキサーとか用意してもらえないのでそのままPAに送っています。以前は”FMR Audio”のRNLAのモディファイエディションと”BBE”のエンハンサーをかましていたのですが、やめました。FMRはローの音痩せとピークが硬いのが問題で、メーターの赤しか見ないPAと相性が悪かったんです。BBEは運搬中に端子が折れてシャカりました。この二つの機材、実は両方とも好きなアーティストが使っていたから導入しただけです。FMRは「Frank wiedemann」 BBEは「luke abbott」です。結局真似しても自分のミッションと違うとマッチしないです。どうしてわかっているのに繰り返すのでしょう。OCTATRACKはメインの曲データが入っています。内容はKICKが抜いてある状態の曲です。MIDI接続したTR-8がKICKを鳴らしています。Analog RYTMはホワイトノイズとか、SE系で使っています。そんな構成なのでだいたいライブは予定調和になってしますが、一人で出来ることって限られているので今の状態が割とベストかと思っています。本当はPCに移行したいのですが古参のファンが止めてくるのでやめています。いろんなインタビュー読むとモジュラー導入したくなったり、シンセ並べたくなったりするのですけど、私はリリースあってのライブだと心に命じて技を磨いています。
-ライブでの曲の展開や音色変化はフロアを見ながら即興でやられてる感じがしました。ライブでは即興演奏が占める割合は多いですか?
即興演奏はほとんどありません。曲の展開は決まっていてそれに合わせてドラム・FXを重ねています。ライブの一体感は欲しいのでフロアの雰囲気を引っ張っていくために様子を見てドラムを抜いたりFXで煽ったりしています。メインのOCTATRACKは音を流すだけで内容の視認ができない機材なので緊張感が生まれます。ライブ前のリハではFXやKICKのパラメーターをその都度チューニングしているので箱ごとに新鮮な気持ちになります。また、お客さんの反応は同じトラックでもライブごとに違う時があります。それが自分の導きたい方向でない場合は一旦落ち着いて、次のトラックで何ができるか考えます。今年11月のスイスでのライブの際は、思った以上に反応良かったのですが、日本とは逆で踊るトラックではなくうっとり系のトラックのウケがよく興味深く感じました。『Big boys don’t cry』をプレイした際はフロアが「この曲知ってる!」って空気になりました。例えると落語のオチ付近の空気感です。グッとなりました。話が脱線しましたが、リリースやトラックがあってのライブなので即興などはあまり考えていないです、”KiNK“に敵うならやってもいいと思います。以前ライブ中にOCTATRACKが故障してTR-8とAnalog RYTMだけで即興でライブしたことがあったのですが、そっちの方が盛り上がって、お客さんのフィードバックも良かったので凹んだことがあります。まだまだ精進します。
-今後の活動予定について教えてください。
来年はリリースが何本かあります。エージェントもつくかもしれません。フェスなどの出演を目指して頑張ります。インスタ(@boysbekkko)も頑張ります。ちょっとは稼げるようになりたい。精進します。
-
-
- boys be kko (Kids Return / Automation)
-
ハードウェア・ストロングスタイルでのライブ興行を中心に活動。闘魂剥き出しのビートは四角いジャングルを真っ赤に染め上げる。2016年よりHiroki Nakamuraとタッグを組み<Kids Return>を旗揚げ。2018年には同レーベルを立ち上げ「Someday song」をリリース。2019年春には<Atomnation>からデビューEP「Big Boys Don’t Cry」をリリース、Gerd Jansonのリミックスに加え、BonoboやAnnie Mac、 me等のサポートを受けたことで話題に。秋には2ndEP「Home Run Bat」をリリース。
◾️Into the basement / Chartehouseレーベル3周年記念としてリリースされるアニバーサリートラック。ブレイクビーツとアシッドベースによるレイヴ感あふれるサウンドに、トークボックスを使用したコーラスを取り入れ、ベースに”Watusi (COLDFEET)”を起用して制作された楽曲。カセットテープとデジタルでリリース。
-
- A.Into the Basement
- B.Into the Basement (boys be kko Remix)
Co-Produce & Bass Watusi (COLDFEET / Dubforce)
Mastering Masaki Morisaki (TinyVoice Production)
カセットテープ
¥1,000+tax CRT-009 DLコード付
2019年12月22日リリース (デジタル及びWebサイトは12月27日)